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東京高等裁判所 昭和41年(行ケ)185号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決の違法事由の存否)

二 原告は、その主張の四点において、本件審決には判断を誤つた違法がある旨主張するが、その主張の理由のないことは、以下説明するとおりである。

(一) 原告の主張四の(一)について

原告は、本願発明の要旨のうち、「その融点より相当上の温度に加熱する」とは、ポリウレタンフォームを「焼却する」と同意義であるとして、ポリウレタンフォームの焼却による残留生成物の粘着性について主張しているけれども、本願発明の特許公報によれば、本願発明の明細書中には、原告主張のような技術内容の開示がされていると認めるに足りる記載がなく、かえつて、同号証中の「発明の詳細なる説明」の<中略>記載によつてみれば、本願発明における加熱は、ポリウレタン材料の表面が軟化し粘着性をおびるまでの加熱であり、その一つの方法としてポリウレタンの面を溶融温度より高い温度で「迅速に」加熱する方法をも含むものであり、結局それは、加熱時間との相関関係において融点より高い温度が適切に「整合されかつ制御され」るべきことを前提とし、結果としてポリウレタンの表面のみが軟化し粘着性をおびるような加熱であれば足りるものと解するほかはない。そして、引例が、その明細書の記載全体からみて、ポリウレタン等の発泡材料の表面を、それが軟化して粘着性をおびるまで加熱するものであることは、成立に争いのない甲第三号証によつて明らかであるから、本願発明と引例とは、加熱の程度において原告主張の差異を有するものではない。

なお、原告指摘の特許公報三頁右欄の記載は、単に一実施例における温度変化と材料の焼却による厚みの変化および結合強さの状況を観察した結果の記述にすぎず、この記述から本願発明における「融点より相当上の温度に加熱する」が「焼却する」の意味であることを読みとることは、とうてい不可能であるといわざるをえない(なお、原告が加熱の程度について、特許請求の範囲の項に右のような表現を用いた動機のいかんは、ここで問議する必要がない。)。

(二) 原告の主張四の(二)について

この点に関する原告の主張は、結局、ポリウレタンフォーム表面の焼却あるいは燃焼が本願発明の要旨であるという見解を前提とするものであるところ、そのような見解の採用しがたいことは前説示のとおりである。そして、本願発明における「ガスの焔にて加熱」は、ガスの焔を直接材料に衝突させて行なう加熱よりも、むしろガスバーナーの耐火性きせ金からの輻射熱による間接的加熱を主として考えていることが明らかであるから、この加熱手段は、本件審決も認定するとおり、引例の高熱気流による加熱との関係で進歩性を認めることはできない。

(三) 原告の主張四の(三)、(四)について

これらの原告の主張は、いずれもポリウレタンフォーム表面の焼却が本願発明の要旨であるという見解を前提とするものであるから、採用できない。本願発明と引例とは、ともにポリウレタンフォームと織物その他の板状材料とを接着剤を用いないで加熱融着し、弾性、耐洗濯性等にすぐれた積層物を得ることを目的としていることは、明らかであり、その構成に原告主張のような格別の相違がなく、したがつて、効果においても差異がないことは、前に説示したところから明らかである。

(むすび)

三 以上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法があるとして本件審決の取消しを求める原告の請求は理由がないものというほかはない。よつてこれを棄却する。

(三宅正雄 杉山克彦 楠賢二)

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